せめて情弱らしく

打合せの予定で取引先を訪れたが、約束の時間までまだ20分ほど間がある。ということですぐ隣りのビルの喫茶店で時間を潰そうと席に着くなり、隣の席のおじさんが何やら電話越しにお怒りの様子。盗み聞きするつもりは無かったのだが、否応なく会話の内容が耳に入ってくる。

「だから、通信料金が安いっていう機種に変更したらメールが使えなくなったんだよ!!」

どうやら、DoCoMoかAuか不明だが、キャリアSIMを廃して格安SIMに変更したらしい。そしてこの人の中では「メール = キャリアメール」ということになっているようで、更に悪いことには自分がどこと契約しているのかも理解せず、もともと契約していた通信事業者に苦情を申し述べているようである。

テレビCMやインターネット上の様々な記事、さらには雑誌にも連日格安SIM(MVNO)が取り上げられ、「通信料金が安い」というキーワードで注目を集めている。不運にもコレを目にした隣席の情弱は、自分がなんの契約をしようとしているのかも理解せぬまま、そのキーワードに飛びついたというわけだ。

確かにMVNO会社のウェブサイトや雑誌の記事などを見ていると、「docomoの回線を使っているので高速…」とかそいういうキーワードが出てくる。それ故にまさかdocomoのサービスが使えなくなるという事がわかりにくいのかもしれない。或いはこの怒れる情弱の中では「メール = キャリアメール」そして「キャリアメール = ケータイに付属する機能」という事になっているようである。

MVNOキャリアは大手通信キャリアに比べると割安感があることは確かだが、ちょっと考えれば安いということは何かしらのデメリットが存在する事は用意に想像できることでもある。しかし、この情弱にとってはそういうことはお構いなしに、既に自ら進んで解約してしまった古巣のキャリアに怒りをぶちまけている愚か者ということだ。サポートセンターの人には同情をする。

こういうことは携帯電話キャリアだけではなく、例えばLCCにも似たようなクレームがあるらしい。どちらにも共通していることだが、従来の手厚いサポートや保証がない代わりにコストを抑えるというのが「格安○○」であるにもかかわらず、そこに従来と同じ品質やサービスやサポートを求めるというのはありえない。そして、その底辺にコミットしようとすればせっかくの「格安○○」は存在できなくなってしまうのだ。

そう考えると、この隣席のキチガイ情弱に無性に腹が立ってきた。とはいえ、見ず知らずの(しかも店内に怒声を響かせているわけでもない)他人の会話に割り込むのも気がひけるので、心のなかでこの言葉を送りたい。

情弱は、せめて情弱らしく振る舞え。

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